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| 伊勢ノ国 BLOG 三重県の旅行、あるいは三重県の方が県外に旅行する際に参考になればと。フリー切符や三重県各地の見所・ポイントをアドバイスしていきます。 |
| 謡曲 『経政』より |
背 燭 共 憐 深 夜 月 ベイ ジュー ゴン リァン シェン イエ ユエ 踏 花 同 惜 少 年 春 ター ホァ トン シー シャオ ニェン チュン
燭(ともしび)を背けては 共に憐れむ深夜の月
花を踏んでは 同じく惜しむ少年の春
,,==ニ=、、 // ヾ l| ,、 ` ,.-.‐┼.──‐´: ├─.-.-、._ /::.::./::.::.::.::.::.:l::.::.::l:.::.::. ̄ヽ ̄ ̄` /:.::.::.//:.::.::.::.::.::./l::.::.::l.::.::.:::.::ヽ::.ヽ /:.::.::./:/.:.::.::.::/.:/.::ll.::.::∧l:.::.::.::l.:.ヽ:.::ヽ l.::.::/.::l.::.:.:/77‐ /l.::./ lA、_::.:l:.::.:ミヽ:ヽ |:.:://:l.::.::.:〃/ l |.:/ l|ヽ:.::.l.::.::.::l ヾ、 . l:.l/:.:l.::.::./ / ´l.:/ ll l.::.l.::.N:.:l l.::,r┤:./l 三三 l/ 三ヨヘ人/ ヾl 「妙にBLっぽい雰囲気が漂うね」 │ヽ l:/::.l , ・l:N:.:/ ` l:l:.::.レ:.:丶_" ー'ー "_人l:./ とは言うと雰囲気ぶち壊し? ll:.::.::.l::.::.l:.>┬-,、..-‐:T:l:.::.ハ/ l.::.::.:ヽ.::.Y Y '┤、::.:l.l:.::.l l.::.::./l:.::ヽ 「 ̄`l >l:.::.:l /.::./ミミミ、:.l l l 彡|:.:/ /:.:/ `` ミヾ:l、、ヽ l 彡/l.:∧ /:.:/ l lVミミヽl彡/l l/ ヽ l.::.l l, `、_ヽl/ノ | ヽ 〃 /::.l , ‐L / l ヽ.l 〉/ l:.::l / ,─,,ュ'、、_ ハ l| ,-l/-、
白居易(バイジューイ)がどのような意図でこの漢詩を造ったかは知らないが、 この詩句を引用した能楽の謡曲『経政』の内容では、同性愛を暗に示している節があるな。
}:/ ! へ、_ x'/ ___ __.x< ̄ ̄ |: : : : : : : : : : : : ∧: : \ .  ̄ > : : : : : : :| : : : : : : : : : : : { } \: :ヽ / : : : : : : : : ハ: : : : : : ∧: : : ゝノ : : ヽ.:ハ . /: : : : : : : :>'-|: : : : : :| ヽ⌒ヽ: : : : : ヽハ /: : : : : : : : : :/ ∨: : : : | ヽ: : : : : :ヽ: :∨} : : : : : : : : : / ∨: : : :| ∨ 、: : : :V∨ :,ィ: : : : : : : .',ニ辷ヘ:ト : ∧ 行云气ト.: : : :|: | !: :| : : : : 圦 r'ハ ヽ | じ::::り !|:ヽ: : :|: ハ ! ∧: : : :∧ V:::り ヽ! 辷以 |: : ヽ.:|ヽ:| |' '.: : : |:∧ ゞ" . ・┴、 ∧|\| まじっすか? ヽ : |、.:} ーf ´ ヽ `7_´ ヽ': :| |ヽト、: `>―.- 、=='ィ二r' _ } : ! |: : : : フ ⌒ ヽ、: : ヽ. フ⊂ , /: : | l : : / \: :∨ { V}: :| |: :/ ∧: | ̄ ヽヘ V: | |:/ } }:/ | |: :|
経政が幼年期を過ごした京都の仁和寺。最期の戦になる、もう生きては帰れまいと覚悟した経政は、覚性法親王から賜った琵琶『青山』をお返ししようと寺に立ち寄る。これほどの名器を自分と共に戦火に失うのを惜しんだんだな。 すでに武装をしていた経政は、寺門を潜ることを憚り、門前にて言伝を頼み、誰とも会わぬまま立ち去ろうとしたが、親王は別れを惜しみ、 「ただその姿を改めずして参れ」と仰せられた。御簾も上げさせ、「これへこれへ」と近く対面することも許されたが、経政は遠慮し、『青山』をお返しして最後の挨拶をした。
御前を辞した後、寺にいた童形出世者坊官侍僧、みな経政を惜しみ、戦に行ってくれるなと袖を掴んで泣き悲しんだ。心に迫る名場面のひとつだな。(『経政都落』)
/⌒ヽ _,. -┴- 、 フ ̄: : : : : : : :.ヽ それで、なんだ、その、 / .ィ: : : : : : : : : : :.'. そういう場面はだな! //| : :i: : U : : : : : :' . |: :(|: l: : : : : : : : :'. ・・・あるのかね? ヘ l :l: : : : : : : : : '.
気持ち悪いから照れるな。もちろん無い。 ただ、そうした慣習の多かった武士や寺僧の関連から、無かったとも言い切れん。 あってもそれが普通な世界だったからな。謡曲でも、そうした背景を表現するために、白居易の詩を引用したのだろう。
ところで話を変えて他にも、謡曲『経政』に引用される、有名な漢詩を紹介しておこう。
大 絃 噌 々 如 急 雨 ダー シァン シェン シェン ルー ジー ユ
小 絃 切 々 如 私 語 シャオ シァン チェ チェ ルー シ ユ
大弦は噌々(そうそう)として急雨(俄雨。村雨)の如し
小弦は切々として私語の如し
第 一 第 二 絃 索 々 ディ イー ディ アル シァン スオ スオ
秋 風 払 松 疎 韻 落 チュウ フェン フー ソン シュー ユン ルオ
第 三 第 四 絃 冷 々 ディ サン ディ スー シァン ロン ロン
夜 鶴 憶 子 篭 中 鳴 イエ ホー イー ヅ ロン ジョン ミン
第 五 絃 声 最 掩 抑 ディ ウー シァン シェン ズォイ ヤン イ
隴 水 凍 咽 流 不 得 ロン シュエイ ドン ヤン リウ ブー ダ
第一第二の弦は 索々として
秋の風 松を払って 疎韻に落つ
第三第四の弦は 冷々として
夜の鶴 子を憶って篭の中に鳴く
第五の弦声は最も掩抑せり
隴水 凍り咽んで流るを得ず
一 声 鳳 管 秋 驚 秦 嶺 之 雲 イー シェン フォン グァン チウ ジン チン リン ジ ユン
数 拍 霓 裳 暁 送 候 山 之 月 シュー パイ ニ シァン シャオ ソン ホウ シャン ジー ユエ
一声の鳳管は 秋 秦嶺の雲を驚かす
数拍の霓裳は 暁 候山の月を送る
和歌や漢詩に通じ、音曲も愛した経政に、謡曲の作者は思い入れ深く多くの和歌や漢詩を編みこんだ。謡って心地よい曲のひとつでもある。
ひとつ体験談を話そう。漢詩を原文で読もうとする試みは数年前からぼちぼちと始めていた。忙しかったりほったらかしにしていたこともあったが、経政の謡を習いながら、ふと自分で書きとめたノートを取り出し、何の気なしに適当なところを開いた途端、上記の漢詩が飛び出してきた。
自分で書き込んだノートだが、その時まですっかり忘れていた。 「ちょうど習っている所じゃないか。しかもノート開いて一発で出てくるなんて、すごい偶然」 と一人で驚き、笑ったことがあったとさ。
テーマ:能楽 - ジャンル:学問・文化・芸術
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| 天から下りし『翁』の面 |
今朝、新聞を読んでいて、「陶晴賢」について書かれているのを読みました。下克上に踏み切った言い分に、
「天(てん)の与うるを取らざれば反(かえ)って其の咎(とが)めを受く 時にいたりておこなわざれば反(かえ)って其の咎(とが)めを受く」
原文を読んでみようと思ったのですが、史記の范蠡、陶朱公の言葉のようです。能楽『船弁慶』の前シテが謡うアレです。
読んですぐに連想したのは、易経の「乾為天」です。
易占いは八卦と呼ばれる、世界を司る八つの要素を占断に使うのですが・・・・
乾 兌 離 震 巽 坎 艮 坤
チェン ドゥイ リー シェン スン カン ゲン クン
天 沢 火 雷 風 水 山 地
ティエン ゼー フォ レイ フォン シュエイ シャン ディ
この八つの要素のうち、天だけ変わった特徴があります。 それは「他の七つの要素は、人間が英知を結集し、努力すれば災厄を免れる・和らげることが出来るが、天命だけはいかんともしがたい」ということです。
ダムの決壊・火災・雷など、様々な災害を現代人は対処する術を編み出し、被害を最小限にとどめることが可能になりました。しかし、天命ばかりはどうしようもありません。
どんなに屈強で健康な男でも、転んだ拍子に打ち所が悪ければポックリ死んでしまうものですし、天下に悪名を轟かせた六十余州に隠れのねぇ大悪党でも、天命いたらざれば捕まりもせず老いて畳の上で大往生、ということもありえます。
また、精神科医がTVで観る度に自分の患者のように見えて心配になったという平成の脱税王が総理大臣に上り詰めることもあり、逆に八ヶ国語を自由に操りクイズ番組で問題が出される前から正解を言い当てるものすごい賢者がコンビニでレジ打ちに甘んじるのもこれみな天命のなせる業。
さて。三重県玉城町の勝田という集落に、かつて翁の面・・・能楽 『神歌』に用いられる能面・・・が天から下ってきたという言い伝えがあります。 翁の舞は他の謡曲とは違い、厳しい潔斎を求められ、筋書きも無い呪術的なものです。仏教にも道教にも原点を求めることが出来ない、おそらくは神国日本でしか生まれることの出来なかった舞を、いかなる奇縁か、数ある日本の伝統芸能のうち、能楽・狂言が(注 『翁』では狂言方も重要な役割を務めるため)受け継ぐこととなりました。
余談に走るのですが、日本の伝統芸能で仮面の使用が許されたのは能楽・狂言であり、その他の芸能、特に庶民に許された芸能は、仮面を用いることを厳しく制限されました。
これは「仮面の使用は呪術的な意味があり、神仏を降ろし、人ではないものに「変身する」という僭越」を軽々しく庶民の楽しみとして許してはならないという事情があったためです。同様の理由で、文楽などの「人形劇」もまた、「くぐつ」という呪術に関連してくるため、農村や集落の祭り事に庶民が楽しみ操ることを禁じられました。(特異な例で、「安乗文楽」がありますね) 庶民が楽しんだ舞台芸術では、仮面を使えないことをどう解決したか? 御存知のとおり、歌舞伎のド派手なメイクは仮面が使えなかったからこそ生まれたのですね。化粧によって変身を遂げようとしたわけです。
翁の面が天から下ったとされる伝承。おそらくこれは、翁の面が八卦の「天」そのものの体現しているからなのでしょうね。 日本にも伝わった宗教として、儒教や仏教がありますが、これらは八卦の中ではあくまでも「山・艮の卦」に相当します。学問に近い扱いなのですね。ほら、お寺のことを、「比叡山延暦寺」だとか、「当山の由緒は・・・」とか言いますでしょう? 日本神道は「天」に相当し、明確な教義というものはありません。そこにあるのは、
「氏子はただひたすら神を崇め奉り、もし託宣あらば背くことなくこれに従わねばならない」
という、「絶対的な関係」のみです。
「乾為天」とは、天命・時運の廻りを表します。天に与えられた資格・天賦の才を疎かにしたり活用しなければ、必ず咎を受ける。チャンス・時運がめぐってきても、放置しておけば何事も無いどころか手痛いしっぺ返しを食らう。 一般にチャンスや幸運は喜ばしいもののように受け取られがちですが、天命というものを考慮すると、それは無為にしては許されない、拒否することの出来ない選択を迫られている瞬間なのでしょう。そうした「怖さ」のようなものが、『翁』を観る度に私には感じられるのです。
テーマ:能楽 - ジャンル:学問・文化・芸術
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| 菅公 天神様の心優しい漢詩 |
天神様、菅原道真公は、その太宰配流の悲劇と、日本で五本の指に入る最強の怨霊となり、追贈を受けて学問の神様として崇められるようになった伝説で有名です。夢枕獏 原作・岡野玲子 作画の『陰陽師』では、絶好調で大活躍される様が素敵でしたが、菅公の作られた漢詩や和歌を、あまり知らない人は多いのではないでしょうか。私もその一人です。
百人一首より
このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに
ほとんどの人たちが、菅公の作品に触れるのはやはり、百人一首のこの和歌でしょう。菅公の深い信仰心と深秋の山々の装いに想を得たその情景がありありと思い浮かばれることでしょう。ですが、実は私、この歌を初めて学んだとき、感想は「へぇ・・・」ぐらいでしかなかったのですね。
そもそも。御存知の方も見えるでしょうが、百人一首はその成り立ちからして、藤原定家が隠岐に流された後鳥羽上皇を慰め奉るために編んだ、一種の謎解き・パズルのような作品でして、集められた和歌・詠んだ歌人がなぜ選出されたのか長らく不思議に思われていたのでした。ですので、格別に良い歌を集めた、というわけではなく、私の感想も多めに見られて良いかもしれません。
さて。私が能楽の勉強のために、和漢朗詠集を読み始めたころ。菅公の次の漢詩を読んで、驚いたことを覚えています。
新路は如今 宿雪を穿つ 旧巣は後のために春の雲に属けたり
新 路 如 今 穿 宿 雪
旧 巣 為 後 属 春 雲
シン ルー ルー ジン ツォン スー シュエ
ジウ ツァオ ウェイ ホウ シュー チュン ユン
春になった今、宿雪を穿ち、路が姿を現したよ 古い巣は来年もまた使うから、春の雲に残しておくよう言付けておいた
雪解けの情景と、春を見捨てて渡る鳥の、古巣を読んだ漢詩です。
「菅公はこんなに心やさしい詩を作られたのか」 そう驚いたことを覚えています。 私も年をとりましたが、澄んだ心で日々を送っていた少年の頃を連想し、懐かしい気がします。
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| 謡曲 『高砂』より |
倚 松 根 摩 腰
千 年 之 翠 満 手
折 梅 花 挿 頭
二 月 之 雪 落 衣
イー ソン グン モー ヤオ
チェン ニェン ジー ツィ マン ショウ
ツェ メイ ホワ チァ トウ
アル ユエ ジー シュエ ルオ イー
松根に 倚って 腰を 摩れば
千年の翠 手に満てり
梅花を折って頭に挿せば
二月の雪 衣に落つ
『高砂』で住吉の明神が影向し、いよいよ舞台もクライマックス。明神は上記の漢詩を謡い、地謡もそれに応え、言祝ぎに観衆も心が澄み渡る心地になります。太鼓も激しく打たれ、漢詩の朗詠が終わるとシテの明神による颯爽とした神舞に移ります。このくだりの劇的な展開は、思わず涙がこぼれそうになるほど素晴らしく、 「ここで舞わずしていつ舞うのか」といわんばかりに、流れるように舞が始まります。
以前、謡曲について某漫画キャラを用いて2次創作をしてみたのですが、『高砂』も取り上げたことがありました。われながらよい出来だったので、再びサイトを開いて再掲載してみたいと思っています。まだ取り上げていない曲もあったので、かなう事ならやってみたいのですが、さて。
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